物語に描かれる病気3「さよならを待つふたりのために」

さよならを待つふたりのために

さよならを待つふたりのために

「さよならを待つふたりのために」
ジョン・グリーン/作 金原瑞人/訳
岩波書店
YA 93 グ

ヘイゼル・グレイスは16歳の女の子です。
13歳のときに甲状腺がんになり、肺に転移した今は、酸素ボンべが欠かせません。
もう長くは生きられないことも理解し、世の中の全てに興味を失っています。

-十六歳でがんで死ぬより最悪なことはこの世でたったひとつ。
  がんで死ぬ子どもを持つことだ。-

ある日、親を喜ばせるために通っていたがんのサポートグループで、
彼女は骨肉腫で左足を切断した少年、オーガスタスと出会います。

ヘイゼルの「病人」というわだかまりをあっさり飛び越えるオーガスタスに、
一気に二人の距離は縮まり、日々生きることの楽しさをようやく実感したとき、
オーガスタスはがんの転移を告げました。

「PETスキャンの検査を受けた。」
「体がライトアップしたクリスマスツリーみたいなんだ。ヘイゼル・グレイス。
 胸膜、左の腰、肝臓、体中だ。」

残されたわずかな時間、自分に考えられる最善をつくし、
オーガスタスの彼女として、彼を見送ったヘイゼル。

やがて彼女は、父と母にあるお願いをします。
それは、自分がいなくなったあと、二人にしてほしいこと。
ずっと思っていながら、看病をつくす親には、どうしても言えなかったこと。
その願いとは―

がん患者としてではなく、どこにでもいる若者のように笑い、悩みながら生きる彼らの物語。
「がん」の物語としても、青春小説としても、おすすめの本です。
興味のある方はぜひご覧ください。