物語に描かれる病気 1「冷蔵庫のうえの人生」

冷蔵庫のうえの人生

冷蔵庫のうえの人生

「冷蔵庫のうえの人生」
アリス・カイパース/著 八木明子/訳
文藝春秋
933 カ

産婦人科医である母親と、
15歳の娘クレアは二人暮らしです。
多忙な母親とクレアとの会話は、
ほとんどが冷蔵庫に貼ったメモ。
買い物リスト、おこづかい、試験の報告…
日々の小さなやりとりに仲の良さが伺えます。

そこに影を落としたのが、
母親の胸に見つかった小さなしこり。
母親はできれば心配をかけたくないと考え、
クレアはきちんと話してほしいと願います。
けれど、なかなか話す機会がありません。

顔を合わせられないことでつのる苛立ちと、
押さえきれない動揺、悲しみ、そして愛情が、
たった数行のメモから伝わってきます。
メモだけで構成される、母娘の物語。
どうぞお手に取ってみてください。