物語に描かれる病気4「シフォン・リボン・シフォン」

シフォン・リボン・シフォン

シフォン・リボン・シフォン

「シフォン・リボン・シフォン」
近藤史恵/著
朝日新聞出版
F コ

小さな田舎町、川巻の商店街に、「シフォン・リボン・シフォン」というランジェリーショップが開店しました。
田舎では珍しい下着の専門店に、人々は好奇の目を向けます。

そんな中、ぽつりぽつりとお客さんが店にやってきます。
客が抱える様々な思いを汲み取り、繊細で美しい下着を通して、そっと背中を押してくれるのは、店主の水橋かなえです。
かなえは、がんサバイバーでもありました。

「下着を売るなんて恥ずかしい」と反対する親の家を飛び出し、東京で仕事に邁進していた矢先に見つかった乳がん。不安と闘いながら治療に専念するかなえに対し、母はあまりにも冷たい言葉を投げかけます。
それでも、母が倒れたとの知らせを受け、かなえは川巻に戻ることを決意します。
彼女は乳がんを経験し、何を思い、故郷に戻ってきたのでしょうか。

がんとともに生きる女性が小さな店を舞台に織りなす、静かであたたかな物語です。